研究トピックス
筋萎縮性側索硬化症に伴う筋萎縮において一酸化窒素合成酵素はその局在を変化させる
2010/05/06
Neuronal NOS is dislocated during muscle atrophy in amyotrophic lateral sclerosis
○鈴木直輝(Naoki Suzuki, Hideki Mizuno, Hitoshi Warita, Shin’ichi Takeda, Yasuto Itoyama, Masashi Aoki)
以前、われわれは一酸化窒素合成酵素(neuronal nitric oxide synthase; nNOS)が尾部懸垂という廃用性筋萎縮モデルで筋萎縮を助長することを報告している。今回は異なる筋萎縮モデルと考えられる運動ニューロン病において同様の現象が見られるかを検討した。対象として筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)患者およびそのモデルとされるsuperoxide dismutase 1 (SOD1)のH46R変異型マウスを用いた。免疫組織染色で、萎縮した筋線維におけるnNOSの細胞質での染色性を認めた。マウスモデルでは筋萎縮出現以前よりnNOSの変化を認め(図)、細胞分画による検討でも細胞膜への局在に異常が起きていることが示された。病末期には筋萎縮に関連するE3-Ubiquitin ligaseであるatrogin-1の発現も上昇していた。今回示したnNOS / atrogin-1 / muscle atrophyという経路は以前示した尾部懸垂・除神経モデルと共通するものであり、筋萎縮緩和のターゲットとなる可能性がある。
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