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研究トピックス

血管内悪性リンパ腫の中枢血管障害にヘパリンが奏効した1例

2015/05/10

 

Heparin-responsive angiopathy in the central nervous system caused by intravascular large B-cell lymphoma.

Yoshida S, Kuroda H, Fukuhara N, Konno H, Watanabe M, Akaishi T, Tateyama M, Aoki M.

J Neurol Sci. 2015;352:117-119. doi: 10.1016/j.jns.2015.03.026.

 

症例は67歳男性。

進行する両下肢の筋力低下、感覚障害、膀胱直腸障害にて当院を受診した。

MRIで脊髄病変を認め責任病巣と考えられたが、その他の画像検査や採血では明らかな異常所見を認めなかった。

脊髄病変に対してステロイド療法を施行し、部分的に症状は改善したが、ステロイドのテーパリング中に再び症状は増悪し、更に聴力障害も加わり、頭部MRIにて白質病変も認めた。再度施行した画像検査、採血でも明らかな悪性所見を認めなかったが、全身CTにて深部静脈血栓を認めヘパリンを施行したところ、聴力と白質病変の改善を認めた。

その後更にステロイドをテーパリングしたところ、発熱、倦怠感、下肢に網状皮疹、汎血球減少、IL2Rの上昇などを認め、皮膚生検により血管内悪性リンパ腫と診断された。リツキシマブを含む化学療法により完全寛解となったが、脊髄病変による症状については改善しなかった。

ヘパリンによる症状改善の機序としては血管内血栓の溶解や腫瘍細胞の接着因子の阻害が考えられた。

(文責:吉田 隼)

 

 

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