研究トピックス
孤発性視神経炎における抗MOG抗体陽性例と抗AQP4抗体陽性例の比較研究
2015/03/21
Tetsuya Akaishi, Douglas Kazutoshi Sato, Ichiro Nakashima, Takayuki
Takeshita, Toshiyuki Takahashi, Hiroshi Doi, Kazuhiro Kurosawa, Kimihiko
Kaneko, Hiroshi Kuroda, Shuhei Nishiyama, Tatsuro Misu, Toru Nakazawa, Kazuo
Fujihara, Masashi Aoki.
MRI and retinal abnormalities in isolated optic neuritis with myelin
oligodendrocyte glycoprotein and aquaporin-4 antibodies: a comparative study.
J Neurol Neurosurg Psychiatry doi:10.1136/jnnp-2014-310206
抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体は、視神経炎および胸腰髄レベルの脊髄炎と関連する自己抗体であり、抗AQP4抗体陰性の視神経脊髄炎の一部を占める。抗MOG抗体陽性患者では脊髄炎を伴わずに孤発性視神経炎(isolated optic
neuritis:iON)を呈する例がしばしば存在し、多くは原因不明の特発性視神経炎として加療を受けている。
今回我々は当院眼科と共同で、2011年から2013年の間に眼科にてiONと診断され、当科に抗体測定の依頼があった連続26名(34罹患眼)の患者を対象とし、cell-based assay法による血清抗体価(抗MOG抗体、抗AQP4抗体)、眼窩MRI、光干渉断層計(OCT)のデータを集計し、抗MOG抗体陽性iONのもつ特徴を探索した。抗MOG抗体陽性iONは急性期に矯正視力が0.1未満まで低下したが、ほぼ全例でステロイドパルス療法から数日〜数週間以内に視力は元のレベルに回復した。眼窩MRIでは視神経病変の罹患範囲がそれ以外の患者より有意に長く、球後(orbital)から頭蓋内(intracranial)にかけて視神経は著明な腫脹・蛇行を呈し、約8割で全周性の造影効果を認め、また約半数で眼窩内脂肪織炎を認めた。OCTでは、黄斑部RNFLは急性期・慢性期とも病型間で差を認めなかったが、乳頭周辺RNFLは抗MOG抗体陽性iONで有意に厚く保たれていた。
(文責:赤石
哲也)
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