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研究トピックス

マウスC9ORF72はALSおよびFTDで障害されるニューロンに強く発現している

2013/11/03

 

マウスC9ORF72はALSおよびFTDで障害されるニューロンに強く発現している
The mouse C9ORF72 ortholog is enriched in neurons known to degenerate in ALS and FTD
Naoki Suzuki, Asif M Maroof, Florian T Merkle, Kathryn Koszka, Atsushi Intoh, Ian Armstrong, Rob Moccia, Brandi N Davis-Dusenbery & Kevin Eggan. Nat Neuroscience. Published online Nov 3, 2013.
The Howard Hughes Medical Institute, Harvard Stem Cell Institute, Department of Stem Cell and Regenerative Biology, Harvard University

2011年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子の一つとして第9染色体上のC9ORF72遺伝子が同定されました。世界中にこの遺伝子変異を持つ患者さんがおり、特に欧米では遺伝性ALSの30−60%を占めるとされ、病態解明の上で脚光を浴びています。その名が示す通り機能は未解明のままです。その配列は各動物種で高度に保存されており、生命機能維持に重要と推察されます。今回の論文ではLacZをレポーターとするマウスを作製し、マウスC9ORF72の発現分布を明らかにしました。精巣や脾臓などの一部臓器を除くと、C9ORF72の発現は脳および脊髄に限局しており、中でも上位運動ニューロンを含む皮質第五層や脊髄前角ニューロンに強く発現していました。In situ hybridizationでもこの分布を確認できました。これらはALSで障害される細胞種であり、C9ORF72の機能不全が病態に関与する可能性を示唆していると考えられます。(文責:鈴木直輝)

 

 

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