トップ研究活動について > 研究トピックス

研究トピックス

多発性硬化症におけるフィンゴリモド投与によるTh17および制御性T細胞の変化

2014/04/21

 

Sato DK, Nakashima I, Bar-Or A, Misu T, Suzuki C, Nishiyama S, Kuroda H, Fujihara K, Aoki M.

Changes in Th17 and regulatory T cells after fingolimod initiation to treat multiple sclerosis.

J Neuroimmunol. 2014 Mar 15;268(1-2):95-8.

【目的】フィンゴリモドはスフィンゴシン1リン酸受容体に作用し、二次リンパ組織から血中へのリンパ球の移行を阻害することで血中のリンパ球数を減少させる。フィンゴリモドが多発性硬化症(MS)において、安定した効果を発現するまでには数ヶ月かかることが知られており、投与後数ヶ月以内に再発する症例は少なくない。投与開始4週間以内での末梢血CD4陽性T細胞を解析し、投与初期の再発に関わる要因を検討した。

【方法】21名のMSにおいて、フィンゴリモド投与前、投与2日後、投与2週後、投与4週後に採血を行い、末梢血リンパ球をフローサイトメーターで解析した。各時期におけるT細胞サブセットの比率、CD4陽性リンパ球中のTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞、制御性T細胞の比率を算出した。

【結果】フィンゴリモド投与後はCCR7陽性のナイーブT細胞およびセントラルメモリーT細胞の比率は投与2週後から低下し、CCR7陰性のエフェクターT細胞の比率は相対的に増加していた。制御性T細胞の比率は投与2週後から増加し、4週後も高い比率を維持していた。Th17細胞の比率は投与前後で差が認

められなかったが、投与1ヶ月後および3ヶ月後に2回再発が見られた症例において、フィンゴリモド投与後のTh17細胞比率の増加を認めた。また、本症例の再発時にはTh17Th1の両者の特徴を持つTh17/Th1細胞の比率の著明な増加が認められた。

【結論】フィンゴリモド投与後4週間でMS末梢血中の制御性T細胞の相対的比率の増加を認めた。フィンゴリモド投与後にTh17細胞比率が上昇した症例で投与後早期の再発を認め、病態との関連が疑われた。

(文責:佐藤ダグラス)

 

 

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→
東北大学 神経内科
〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1−1 TEL 022-717-7000(病院代表)