トップ研究活動について > 研究トピックス

研究トピックス

肢帯型筋ジストロフィー2B型の臨床的特徴と発症の遅い変異

2012/12/22

 

Clinical features and a mutation with late onset of limb girdle muscular dystrophy 2B

Toshiaki Takahashi(高橋俊明)*, Masashi Aoki, Naoki Suzuki, Maki Tateyama, Chikako Yaginuma, Hitomi Sato, Miho Hayasaka, Hitomi Sugawara, Mariko Ito, Emi Abe-Kondo, Naoko Shimakura, Tohru Ibi, Satoshi Kuru, Tadashi Wakayama, Gen Sobue, Naoki Fujii, Toshio Saito, Tsuyoshi Matsumura, Itaru Funakawa, Eiichiro Mukai, Toru Kawanami, Mitsuya Morita, Mineo Yamazaki, Takashi Hasegawa, Jun Shimizu, Shoji Tsuji, Shigeki Kuzuhara, Hiroyasu Tanaka, Masaru Yoshioka, Hidehiko Konno, Hiroshi Onodera, and Yasuto Itoyama

J Neurol Neurosurg Psychiatry doi:10.1136/jnnp-2011-301339

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23243261
http://jnnp.bmj.com/content/early/2012/12/19/jnnp-2011-301339.full

国立病院機構西多賀病院では東北大学神経内科と共同でジスフェルリン遺伝子変異の検索を行っている.今回その結果をもとに肢帯型筋ジストロフィー2B型の臨床的特徴と発症の遅い変異を明らかにし報告した.
ジスフェルリンの異常は肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)2B型と三好型遠位型筋ジストロフィーの主に2型の表現型を示す.LGMD2Bの遺伝子変異と臨床型の特徴を明らかにするために我々はジスフェルリン遺伝子変異の確定した36家系40人の日本人LGMD2B患者を観察した.c.1566C>G変異,c.2997G>T変異およびc.4497delT変異の3種の変異が多くみられた.c.2997G>T変異は発症が遅い,ジスフェルリン異常症の中でのより近位筋優位,上肢筋からの発症が高頻度および血清CK値が低いことに関連していた.LGMD2Bの臨床的特徴は以下にまとめられる.1)10歳代後半から若年成人期に発症する.2)下肢の筋力低下で発症する.3)骨格筋CTで初期から下肢遠位筋の障害がみられる.4)骨格筋CTで初期から腰椎の傍脊柱筋の障害がみられる.5)上肢では近位筋優位の障害である.6)後期でも手の機能は保たれる.7)後期でも頸の筋力は保たれる.8)顔面筋や嚥下は保たれる.9)側彎を呈さない.10)高CK血症である.11)心機能は保たれる.12)呼吸機能が低下していく傾向がある.発症の遅い表現型が多くみられる遺伝子変異に存在したことは重要なことと思われる.

*独立行政法人国立病院機構西多賀病院神経内科

 

 

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→
東北大学 神経内科
〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1−1 TEL 022-717-7000(病院代表)