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研究トピックス

脊髄円錐・馬尾に病変を認めた抗アクアポリン4抗体陽性の2症例

2012/10/18

 

Takai Y, Misu T, Nakashima I, Takahashi T, Itoyama Y, Fujihara K, Aoki M. Two cases of lumbosacral myeloradiculitis with anti-aquaporin-4 antibody. Neurology. 2012 Oct 10.

http://www.neurology.org/content/early/2012/10/10/WNL.0b013e3182703ff7.extract

視神経脊髄炎(Neuromyelitis optica:NMO)は、重度の視神経炎及び脊髄炎を特徴とする疾患であるが、本疾患に特異的な自己抗体である抗アクアポリン4(AQP4)抗体の発見によって、その他の特徴的な症候が次第に明らかとなっている。今回我々は、MRI画像にて脊髄円錐および馬尾神経に造影増強効果を認め、臨床的に腱反射低下を伴った、抗AQP4抗体陽性の2症例を経験した。内1例の剖検組織において、脊髄円錐および馬尾に壊死性脱髄所見が確認された。同病変におけるGFAP及びAQP4の染色性は低下しており、既報のNMO病変の特徴に合致した。また、馬尾神経における脱髄病巣は、中枢側半分のみが明確に脱落する特徴的な所見を呈していた。脊髄において、中枢-末梢神経移行部では、中枢組織がわずかに末梢側へ突出していることが知られており、今回生じた特徴的な脱髄病巣は、この部位が標的となって生じたものと考えられた。NMOでは馬尾病変を合併することにより、末梢神経障害様の症候を呈する場合があり注意を要する。

 

 
視神経脊髄炎における脊髄円錐および馬尾病変 (Figure.jpg)

 

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