研究トピックス
両側腓骨神経麻痺を呈した高齢発症の遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの2例
2013/01/30
Kawaguchi N, Suzuki N, Tateyama M, Takai Y, Misu T, Nakashima I, Itoyama Y, Aoki M. Two cases of elderly-onset hereditary neuropathy with liability to pressure palsy manifesting bilateral peroneal nerve palsies. Case Rep Neurol. 2012 Sep;4(3):149-55.
遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(hereditary neuropathy with liability to pressure palsy, HNPP)は、30‐40代に発症し、圧迫に伴って繰り返す単神経麻痺を特徴とする疾患である。今回我々は、両側の下垂足(腓骨神経麻痺)を呈した高齢発症のHNPPの2症例を報告した。2例ともに瀰漫性の下肢筋力低下と手袋靴下型の感覚障害を認め、進行性のポリニューロパチーの所見であった。神経伝導検査では両側腓骨神経の複合筋活動電位の消失、瀰漫性の伝導速度低下が見られた。神経生検で髄鞘の肥厚(tomacula)が観察され、遺伝子検査でFISH法により17p11.2染色体の欠損を認めたことから診断を確定した。高齢発症の場合には非典型的な症状を呈することがあり注意が必要である。また、本症例は臨床経過から腓骨神経障害の増悪に正坐が関与していると推測された。
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