研究トピックス
ジスフェルリノパチー剖検例での心筋異常
2011/08/01
An autopsy case of dysferlinopathy patient with cardiac involvement (Muscle Nerve 2011)
鈴木直輝(Naoki Suzuki, Toshiaki Takahashi, Yasushi Suzuki, Koichi Narikawa, Sonoko Kudo, Hiroyoshi Suzuki, Maki Tateyama, Masashi Aoki)
筋細胞膜修復に関与するとされるジスフェルリンの遺伝子異常による筋疾患はジスフェルリノパチーと総称される。今回はこれまであまり注目されていなかった心筋異常を呈したジスフェルリノパチーの剖検例を報告する。症例は22歳で発症し40歳で車椅子生活となった。心エコー上は肥大型心筋症を疑わせる所見があり、発作性上室性頻拍が見られペースメーカの適応とされたが希望しなかった。呼吸機能障害も徐々に進行し、78歳で呼吸不全で死亡した。剖検心筋では配列の乱れと線維化が観察され、免疫染色でもジスフェルリンの染色性が欠損していた。ジスフェルリノパチーの長期経過例では心筋や呼吸筋の異常を来すことがあり、多くはADLの低下が手伝って症状は乏しい。慎重な心機能・呼吸機能が患者管理上は重要である。
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