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研究トピックス

"yes-yes"型の頭部振戦をともなった多発性硬化症の1例

2011/04/29

 

今年医学部を卒業した尾股慧先生が、6年生の時の高次修練で担当した症例の症例報告を書いてくれました。

臨床神経学 Vol. 51 (2011) , No. 4 pp.282-285
"yes-yes"型の頭部振戦をともなった多発性硬化症の1例

尾股 慧1), 鈴木 直輝1), 井泉 瑠美子1), 永田 真理1), 西山 修平1), 中島 一郎1), 糸山 泰人1)

1) 東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経内科学分野

要旨:  症例は32歳の女性である.2009年5月に右口角の力が入らなくなったが自然軽快した.2010年1月に頭部の前後方向の振戦が出現し,3月には右上肢の痛み・異常感覚を自覚した.4月にはLhermitte徴候をみとめ,MRIにて大脳白質と頸髄に多発する病変をみとめた.頸髄病変では一部造影増強効果もみられた.髄液オリゴクローナルバンドが陽性であり多発性硬化症(MS)と診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法により右上肢の痛み・異常感覚は減弱し,クロナゼパムにより頭部振戦は改善をみとめた.いわゆる"yes-yes"型の頭部振戦はMSに比較的特徴的とされる一方,本例の如く振戦が頭部に限局する例は非常にまれである.また,MSにともなう振戦の責任病変として小脳・視床が指摘されてきたが,頭部振戦の責任病変は明らかになっていない.本例ではMRI上頸髄のみに造影病変をみとめたため,頭部振戦の病態に頸髄病変が関与している可能性が示唆された.
Key words: 多発性硬化症, 頭部振戦, "yes-yes"型

 

 

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