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新年のご挨拶
2009/01/05
2009年が始まりました。今年は東北大学神経内科にとって大変重要な年であり、第50回日本神経学会総会がこの仙台の地で開催されます。第1回が福岡の地で始まって以来、半世紀が経ったことになります。この間、日本神経学会は会員が8000人を越える大きな組織になりましたし、数々の神経疾患の病因の解明から治療法を開発するなど大きく発展・進歩しました。この第50回の総会において、その半世紀の成果がまとめて報告されるものと思います。このような重要な会を私共がお世話することは大変名誉なことであり、今後の東北大学の将来の発展に大きく繋がるものと考えています。それに加えて、今年は現在私共の教室が抱えている幾つかの魅力的な研究テーマの発展が望まれます。ひとつは視神経脊髄炎の研究です。この疾患は今まで多発性硬化症の一群であると考えられていましたが、血清アクアポリン4抗体を介したアストロサイトを障害する脱髄疾患とは異なる病態であるという新しい疾患概念を確立させつつあります。この疾患概念の確立には、世界でも東北大学でしか行なえないものと考えております。研究に携わっている諸氏の一層の踏ん張りをお願いします。また、ALSの治療薬の開発に関しましては、今までの15年間の私共の研究の歴史がまさに最終段階にきています。厳しい薬剤品質や副作用の基準をクリアーする段階で、アカゲザルの安全性を確立した後に、遂に患者自身への投与治験が可能になります。これが新たな不治の病のALSの治療薬となり世界に広がることを夢見ています。また、パーキンソン病や多系統委縮症に関しての研究は、東北大学で開発された細胞モデルを用いた研究成果が多系統委縮症の病因解明に繋がることを心から期待しております。2009年は我々の努力が問われる時でもあり、またやりがいのある年でもありますので皆さんの一層の奮起を期待しています。
平成21年1月5日
東北大学神経内科
糸山泰人
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