研究トピックス
NMOにおける視神経炎の発症時の長さは、最終的な視力予後に強く影響する
2016/02/17
NMOにおける視神経炎の発症時の長さは、最終的な視力予後に強く影響する
Lesion length of optic neuritis impacts visual prognosis in neuromyelitis optica.
Akaishi T, Nakashima I, Takeshita T, Mugikura S, Sato DK, Takahashi T, Nishiyama S, Kurosawa K, Misu T, Nakazawa T, Aoki M, Fujihara K.
Journal of Neuroimmunology. 2016; 293: 28–33.
【はじめに】
視神経脊髄炎(NMO)における視神経炎(ON)の視力予後は、ほぼ正常まで回復する症例から失明に至る症例まで様々であるが、視力予後を病初期に予測する指標はまだない。今回、NMOにおけるON発症時の病変長と、最終的な視力予後の関係を調べた。
【方法】
当院通院中のNMO患者のうち、ONの病歴があり、ON発症時の視神経MRIが入手できた全23名(26病眼)において、発症時のON病変長と、回復期以降の視力を集計した。ON病変長は、視覚路を前方から順に「眼窩内前方」、「眼窩内後方」、「視神経管」、「頭蓋内」、「視交叉」、「視索」の6区域に分け、ONがみられる区域数で評価した。同時に、ON発症年齢、ON罹病年数、ON再発回数、抗AQP4抗体価、髄液検査データ、慢性期の網膜の厚さも集計し、視力予後との関係を調べた。
【結果】
ON発症時の病変長は、視力予後の悪さともっとも強い相関を示した(R = 0.75, p < 0.0001)。これは、慢性期の網膜の厚さと視力予後の相関より強かった。また、発症年齢は、最終的な視力予後の悪さと中等度の相関を示した(R = 0.44, p < 0.05)。罹病年数、再発回数、抗AQP4抗体価、髄液検査データは、視力予後と相関を示さなかった。
【結語】
NMOにおけるON発症時の病変長が長いと、予想される視力予後も悪い。また、ON発症時の年齢が高くても、視力予後がやや悪くなる可能性がある。これらの要因をもつ患者ではON発症時に、より積極的な治療介入を考慮して良いかも知れない。(文責:赤石 哲也)
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