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研究トピックス

補足眼野は予想外の正解・不正解(サプライズ)を検出し、探索行動と知識利用の切り替えを引き起こす

2014/11/30

 

補足眼野は予想外の正解・不正解(サプライズ)を検出し、探索行動と知識利用の切り替えを引き起こす

Surprise Signals in the Supplementary Eye Field: Rectified Prediction Errors Drive Exploration-Exploitation Transitions.

Kawaguchi N, Sakamoto K, Saito N, Furusawa Y, Tanji J, Aoki M, Mushiake H.

J Neurophysiol. 2014 Nov 19:

PMID: 25411455

 

 

非定常的な環境に適応するためには、新たな情報を発見しようとする「探索」と現在の知識に基づいて行動を選択する「知識利用」という二つの行動様式を切り替えることが必要である。

補足眼野は高次の眼球運動領野であるだけでなく行動の評価にも寄与すると言われていた。そこで本論文では、補足眼野の神経細胞がどのように行動を評価し、探索・知識利用の切り替えに関わるかを検討した。

我々はサルに眼球運動を用いた標的探索課題を行わせた。この課題では4つの同一の視覚刺激のうち隣接する2つの正解ターゲットを発見し(探索)、その二つを交互に選択すること(知識利用)が求められた。

補足眼野から記録を行い、発火頻度を解析した。その結果、期待値に関わりなく結果に反応する「結果反応性細胞」に加えて、予想外の結果(予測誤差)に反応する「サプライズ細胞」が見出された。そして、これらの神経活動と行動選択との関連を調べたところ、予想外の不正解に反応するサプライズ細胞が活動すると探索行動が開始され、逆に、予想外の正解に反応するサプライズ細胞が活動すると知識利用行動を引き起こされた。

以上より、補足眼野の神経細胞は、結果の予想に基づいて行動結果を評価(予測誤差を生成)し、その活動は次試行における探索と知識利用の行動選択にも影響を与えることが明らかになった。

補足眼野はヒトにおいてはfMRIを用いた実験に基づいて同定(定義)されているが、その明確な機能は明らかになっておらず、ヒトでの機能的意義については今後の研究が必要である。

 

 

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