研究トピックス
骨格筋特異的プロテアソーム機能不全は筋成長不全ならびに異常タンパク質の蓄積を引き起こす
2014/11/17
骨格筋特異的プロテアソーム機能不全は筋成長不全ならびに異常タンパク質の蓄積を引き起こす
Proteasome dysfunction induces muscle
growth defects and protein aggregation
Kitajima Y#, Tashiro Y#,
Suzuki N#*, Warita H, Kato H, Tateyama M, Ando R, Izumi R, Yamazaki M, Abe M,
Sakimura K, Ito H, Urushitani M, Nagatomi R, Takahashi R, Aoki M*.
J Cell Sci. Nov 6. pii: jcs.150961. (#
these authors are equally contributed to this work. * co-corresponding authors)W
プロテアソーム系とオートファジー系は2つの主要なタンパク質分解機構である。プロテアソーム構成遺伝子であるRpt3の全身欠損マウスでは,胎生致死に至ることから生存に必須である。プロテアソーム機能不全は様々な筋疾患の病態に関与すると考えられる。今回、我々は筋特異的にプロテアソーム構成遺伝子(Rpt3)を欠損させたマウスを作出し、筋特異的なプロテアソームの役割に関して検討した。
筋特異的Rpt3欠損マウスではコントロールに比して筋成長不全ならびに筋力の有意な減退を呈した。2週齢にてプロテアソーム活性の有意な減少がみられたが、成長とともに活性は異常亢進となった。オートファジー関連の遺伝子発現は上昇していたが、C2C12マウス骨格筋細胞株を用いたin vitroでの薬理学的解析と合わせると、Rpt3欠損によりオートファゴゾーム形成能が低下することが示唆された。免疫染色、ウエスタンブロットでは,ユビキチン、p62、TDP-43、FUS/TLS、VCPなどのタンパク質の異常蓄積を認めた。電子顕微鏡解析では筋原線維の走行の乱れがみられた。
適切なプロテアソーム活性が骨格筋ホメオスタシス維持に必須である。本モデルはプロテアソーム系およびオートファジー系の相互連関を明らかにするのに適していると考えられる。今後は骨格筋幹細胞におけるプロテアソーム系の役割やタンパク質凝集筋疾患の病態との関わりについて研究を進めていきたい。
←新しい記事へ | ↑一覧へ | 以前の記事へ→ |