研究トピックス
抗MOG抗体陽性視神経脊髄炎はアストロサイト傷害なしに重度の脱髄をきたす
2014/09/30
{{{
Kensuke Ikeda, Naoki Kiyota, Hiroshi Kuroda, Douglas
Kazutoshi Sato, Shuhei Nishiyama, Toshiyuki Takahashi, Tatsuro Misu, Ichiro
Nakashima, Kazuo Fujihara and Masashi Aoki
Severe demyelination but no
astrocytopathy in clinically definite neuromyelitis optica with
anti-myelin-oligodendrocyte glycoprotein antibody
Multiple Sclerosis Journal. Article in press
【概要】
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica; NMO)は重症視神経炎と脊髄長大病変を特徴的とする中枢性炎症疾患であり、大部分の症例でアストロサイト足突起に高発現するアクアポリン4蛋白に対する抗体 (抗AQP4抗体)が検出される。また、抗AQP4抗体陽性NMOでは抗体介在性アストロサイト傷害が病態の中心と考えられている。近年、抗AQP4抗体陰性NMO群の中にmyelin-oligodendrocyte
glycoprotein (MOG)に対する抗体を有する症例の存在が報告されているが、その病態機序は不明であった。我々は今回、抗MOG抗体陽性NMOの31歳男性例において急性期髄液中の脱髄マーカーおよびアストロサイト傷害マーカーを測定した。本例では脱髄マーカーであるMyelin basic protein (MBP)の著増を認める一方で、アストロサイト傷害マーカーであるGlial fibrillary acidic
protein (GFAP)は検出感度以下であった。ステロイドパルス治療への反応は良好であり、血液浄化療法などの追加を必要としなかった。
本例での検討から、抗MOG抗体陽性NMOではアストロサイト傷害を介さずに脱髄が惹起されている可能性が推測された。今後、抗MOG抗体陽性NMOでの脱髄機序解明が同疾患群の適切な治療方針決定につながると考えられる。
(文責:池田謙輔)
←新しい記事へ | ↑一覧へ | 以前の記事へ→ |