研究トピックス
多変量解析による重症筋無力症の新たな分類の試みと、発症年齢境界値の検討
2014/09/07
国内における重症筋無力症(MG)の多施設共同研究会であるJapan MG registry(http://mg.kenkyuukai.jp/ )に登録された、欠損値のない640症例の患者背景、臨床像、検査データなどを網羅的に変数に用いて多変量解析(two-stepクラスター分析)を行い、分類のうえで重要と考えられる変数を抽出した。
この解析により、独立性の高いサブグループとして順に下記5群に分類された。
・眼筋型MG (Ocular MG)
・胸腺過形成を伴うMG (THMG:MG with thymic hyperplasia)
・抗AChR抗体を伴わないMG (Seronegative MG)
・胸腺腫を伴うMG (TAMG:Thymoma-associated MG)
・それ以外 (SPMG:Seropositive MG without thymic
abnormalities)
これらの5群はそれぞれ特徴的な患者背景や臨床像を呈しており、異なる病態背景を反映している可能性がある。
現行のELT分類(Early-onset / Late-onset / Thymoma-associated)との関連性も検討した。発症年齢のピークは、THMG(およびSeronegative MG)では40歳台以前に、Ocular MGとSPMGでは50歳台以降に、TAMGは50歳前後に存在し、それぞれELT分類の各群におよそ相当すると考えられた。特にTHMGとTAMGは狭い年齢幅に分布し、年齢依存性の病態も示唆された。
Early-onsetとLate-onsetの発症年齢の境界は現在、経験的に50歳と設定されている。前者をTHMGに置き換え、後者をSPMG(およびOcular MG)に置き換えて、発症年齢ごとに頻度を相関係数としてグラフ化すると、45歳頃から後者の増加傾向を認め、現在の年齢設定はおおよそ正しい事が示唆された。(文責:赤石哲也)
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