研究トピックス
12年にわたるCIDP様の臨床経過をとったALSの一剖検例
2014/06/18
発症時37歳の女性。四肢に再発性・進行性の感覚障害と筋力低下を認め、時間的分散を伴った神経伝導検査の結果などから42歳時にCIDPと診断された。同年に行った腓腹神経生検でも、びまん性の髄鞘菲薄化や局所的なonion-bulb形成を認め、診断を後押しした。症状の進行に合わせて合計11回のIVIG療法が行われ、当初は部分的に効果を示したが、45歳頃には効果を認めなくなり、四肢は弛緩性麻痺の状態となった。46歳時から球麻痺も加わり、徐々に呼吸不全となり、48歳で永眠された。剖検では脊髄前角の萎縮は軽度であったが、脊髄前角細胞の減少および萎縮を認め、リン酸化TDP-43細胞内封入体が陽性であった。腰髄前角細胞にはBunina小体も認めた。大脳では海馬・側頭葉・右前頭葉などのニューロンにリン酸化TDP-43を認めたが、側索はおおむね保たれていた。病理はALSの診断であったが10年以上の経過に合致する程ではなく、CIDP様ニューロパチーの経過後にALSを発病したと考えられた。(文責:赤石哲也)
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