研究トピックス
COVID-19感染後に発症した抗NXP2抗体陽性皮膚筋炎の一例
2021/12/14
Anti-NXP2 antibody-positive dermatomyositis developed after COVID-19 manifesting as type I interferonopathy.
Okada Y, Izumi R, Hosaka T, Watanabe S, Shijo T, Hatchome N, Konishi R, Ichimura Y, Okiyama N, Suzuki N, Misu T, Aoki M.
Rheumatology (Oxford). 2021 Nov 30:keab872. doi: 10.1093/rheumatology/keab872. PMID: 34850853
要旨:
本論文ではCOVID-19罹患後に遅発性に発症した抗NXP2抗体陽性皮膚筋炎の一例を報告しました。生検皮膚・筋組織では炎症所見に加え、I型インターフェロン誘導性の蛋白であるミクソウイルス抵抗性蛋白質(MxA)が陽性でした。また各種の筋炎関連自己抗体検索の結果、抗NXP2抗体陽性が判明し、抗NXP2抗体陽性皮膚筋炎と最終診断しました。ステロイドパルス療法後、皮膚症状・筋力は速やかに改善しました。
COVID-19感染後発症皮膚筋炎は数例の既報が存在しますが、抗NXP2抗体との関連を示したのは本症例が初めてです。COVID-19感染による抗NXP2抗体誘導の詳細な機序については更なる検討を要するものの、NXP2蛋白質はRNA代謝や核構造の維持に重要な蛋白であり、他のウイルス感染では発現の増加や細胞内局在変化が報告されています。
COVID-19は急性期にI型インターフェロン介在性皮膚筋障害を起こすことが知られていますが、本症例のように呼吸器症状を認めない症例であっても、遅発性に自己抗体を伴うI型インターフェロン過剰作用から自己免疫性皮膚筋炎を起こす点は十分認識されていません。このような遅発性皮膚筋症状は見過ごされている可能性があり、治療可能な病態として広く臨床医に認識されるべきであると考えます。
文責 岡田友里・井泉瑠美子
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