研究トピックス
ジスフェルリン異常症209家系の臨床遺伝学的特徴
2020/05/29
The genetic profile of dysferlinopathy in a cohort of 209 cases: genotype-phenotype relationship and a hotspot on the inner DysF domain.
Izumi R, Takahashi T, Suzuki N, Niihori T, Ono H, Nakamura N, Katada S, Kato M, Warita H, Tateyama M, Aoki Y, Aoki M.
Hum Mutat. 2020 May 12. doi: 10.1002/humu.24036. Online ahead of print.
要旨:DYSF遺伝子変異によっておこる肢帯型筋ジストロフィー2B型や三好型遠位型ミオパチーは「ジスフェルリン異常症」と総称されています。同遺伝子同定以降 (Liu, Aoki,1998)、東北大学脳神経内科は、仙台西多賀病院橋俊明先生、東北大学遺伝医療学分野との共同研究により、20年以上にわたりジスフェルリン異常症の同遺伝子解析を継続してきました。
累計209家系の発端者に新規19変異を含む90種類の変異が検出されました。その中で、c.2997 G>T(p.W999C)のアレル頻度が最も高く(22.9%)、70/209例の発端者(33.5%)にホモ接合あるいはヘテロ接合で検出され、三好型遠位型ミオパチーの20/104例(19.2%)、肢帯型筋ジストロフィー2B型の43/82例(52.4%) に存在していました。ミスセンス変異に注目した解析では、p.W999Cとその他の5つの変異がIdysFドメインに存在し、113/160アレル(70.6%)が本ドメインに集中していました。頻度の高いp.W999Cあるいは、IdysFドメインは、ジスフェルリン異常症の病態解析に重要であり、将来的な治療ターゲットとなります。
文責 井泉瑠美子
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