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研究トピックス

胸腺摘除術後のクリーゼ発症に関わる術前リスクのメタ解析

2019/10/23

 

Preoperative risks of post-operative myasthenic crisis (POMC): A metaanalysis.
T. Akaishi, M. Motomura, H. Shiraishi, S. Yoshimura, M. Abe, T. Ishii, M. Aoki. J.
Neurol. Sci. 407 (2019) 116530

【要旨】
重症筋無力症(MG)では、胸腺摘除術後のクリーゼ(POMC)がしばしば問題になります。その術前リスク因子はこれまで複数の臨床研究で検証されましたが、報告ごとに結論にばらつきがありました。今回私たちは長崎大学と共同で、POMCの術前リスク因子を検証した過去の臨床研究を用いたメタ解析を行いました。その結果、球症状、MG重症度、クリーゼ既往などが有意な術前リスクとして示唆され、特に球症状が研究間の誤差がもっとも少ないリスク因子でした。一方、年齢、性別、抗AChR抗体価などは有意なリスク因子としては示されませんでした。球症状は容易に確認できる臨床情報であり、術前に球症状がみられる患者さんでは胸腺摘除に際してより一層のPOMCへの注意と対策が望ましいと考えられます。

赤石 哲也

 

 

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