研究トピックス
サルコイドーシスの筋病変における樹状細胞の免疫組織学的検討
2011/02/23
Dendritic cells in muscle lesions of sarcoidosis.
Tateyama M, Fujihara K, Itoyama Y.
Hum Pathol. 2011 Mar;42(3):340-6
サルコイドーシスの肉芽腫は主としてCD4陽性T細胞、類上皮細胞、マクロファージからなる中心部と種々の免疫細胞を含む辺縁部からなっており、Th1主体の免疫反応により形成されると考えられているが不明の点が多い。樹状細胞はT細胞に対する強い抗原提示能力を有し、免疫系の中心的役割を果たす免疫細胞の一種である。肉芽腫形成における樹状細胞の関与は肉芽腫動物モデルで報告されているが、サルコイドーシスでは一定の見解に達していない。私たちはサルコイドーシスの筋病変を骨髄系樹状細胞(myeloid dendritic cells)および 形質細胞様樹状細胞 (plasmacytoid dendritic cells) に対する抗体を用いて免疫組織学的に検討した。サルコイドーシスでは肉芽腫の辺縁部および肉芽腫周囲の筋内鞘、血管周囲に骨髄系樹状細胞のマーカーであるCD1c陽性細胞を認めた。一方形質細胞様樹状細胞のマーカーであるBDCA-2を発現した細胞は肉芽腫の辺縁部や血管の周囲に少数認められた。また樹状細胞の活性化に関与する因子であるCD40/CD40Lが肉芽腫を中心に発現していた。これらの結果から、サルコイドーシスの筋病変では主として骨髄系樹状細胞が抗原提示や免疫細胞の動員を通してTh1反応主体の免疫病態に関与していることが示唆された。
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