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研究トピックス

ALSモデルラットにおけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)受容体の異所性発現

2017/07/31

 

Aberrant astrocytic expression of chondroitin sulfate proteoglycan receptors in a rat model of amyotrophic lateral sclerosis.

Shijo T, Warita H, Suzuki N, Ikeda K, Akiyama T, Ono H, Mitsuzawa S, Nishiyama A, Izumi R, Aoki M. J Neurosci Res 2017. DOI: 10.1002/jnr.24127. [PubMed]

【研究内容】
筋萎縮性側索硬化症 (以下ALS) は, 進行性・致死性の神経変性疾患のひとつである. その病理学的特徴は、ほぼ選択的な運動ニューロン脱落およびグリア細胞の増生である. 以前わたしたちは, 家族性ALSの代表的な原因遺伝子であるSOD1のHis46Arg変異体を全身に過剰発現させたモデルラット (以下ALSラット) の脊髄前角で, コンドロイチン硫酸プロテオグリカン (以下CSPG) の沈着が亢進していることを明らかにした (Mizuno et al., 2008). CSPGは中枢神経系の主要な細胞外基質であり, 神経軸索の再生を物理的に阻害する. 近年, protein tyrosine phosphatase sigma (PTPσ) および leukocyte common antigen-related protein (LAR) というCSPGの受容体が相次いで発見され, CSPGが物理的阻害のみならず, 細胞内シグナルを介して中枢神経の再生を阻害することが明らかになってきた. そこで私たちは, ALSラット脊髄におけるPTPσ, LARの発現変動を蛍光免疫染色および免疫ブロッティング, 定量的RT-PCRを用いて明らかにした. その結果, ALSラット脊髄前角では活性化アストロサイトにこれらCSPG受容体の異所性発現が認められ, それは疾患の進行にしたがい増加した. 一方, 脊髄前角細胞におけるPTPσの発現はALSラットで低下していた. 活性化アストロサイトおよびCSPG受容体の進行性・異所性発現は, 神経再生阻害環境を構築している可能性があり, ALSにおける治療標的となり得ると考えられた. (四條友望,割田 仁)

 

 

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