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研究トピックス

Proton MRSを用いた間欠型一酸化炭素中毒における白質代謝異常の検出

2016/01/05

 

Altered white matter metabolism in delayed neurologic sequelae after carbon monoxide poisoning: A proton magnetic resonance spectroscopic study.
Kuroda H, Fujihara K, Mugikura S, Takahashi S, Kushimoto S, Aoki M.
J Neurol Sci. 2016 Jan 15;360:161-9. doi: 10.1016/j.jns.2015.12.006.

一酸化炭素(carbon monoxide; CO)による間欠型中毒(delayed neurologic sequelae; DNS)は急性CO中毒回復後に再発性白質病変とそれによる神経障害をきたす.これまでProton MRSを用いてCO中毒後の白質代謝異常を検出した報告は複数存在したが,多くは急性中毒に関してであった.本研究はproton MRSを用いてDNSにおける白質代謝異常を検出し,その臨床的意義を明らかにすることを目的とした. 急性CO中毒患者の臨床症状を追跡し,CO暴露1週間以内と1ヶ月時点で白質proton MRSおよび髄液ミエリン塩基性蛋白(myelin basic protein; MBP)測定を行った.Proton MRSでは関心領域内のcholine-containing compounds (Cho), creatine (Cr), N-acetylaspartate (NAA), lactateの各ピークについて解析を行った. 急性CO中毒患者52名(DNS発症15名,DNS非発症37名,年齢中央値49歳,男性65%)が本研究に組み入れられた.CO暴露1週間以内の検査では,DNS群においてNAA/Crが有意に低下しており,同群での神経・軸索障害が示唆された.1ヶ月時点でDNS症状を呈していたものは9/15(60%)であったが,DNS群でCho/Cr上昇とNAA/Cr・NAA/Cho低下が認められ,同群での膜代謝亢進と神経・軸索障害が示唆された.1ヶ月時点でのMRSパラメーター異常は髄液中MBP上昇と相関を示し,また1ヶ月時点でのlactate peak出現は長期予後不良と関連した. 以上の結果により,CO暴露早期のproton MRS検査はDNS発症予測に有用であり,1ヶ月時点での検査はDNS発症予測,診断,予後予測に有用であることが示された.
(文責;黒田 宙)

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26723994

 

 

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