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研究トピックス

血清および脳脊髄液におけるMOG-IgG検出の診断への影響

2023/05/02

 

Diagnostic implications of MOG-IgG detection in sera and cerebrospinal fluids
Yuki Matsumoto, Kimihiko Kaneko, Toshiyuki Takahashi, Yoshiki Takai, Chihiro Namatame, Hiroshi Kuroda, Tatsuro Misu, Kazuo Fujihara, Masashi Aoki
Brain, awad122

要旨: 抗Myelin oligodendrocyto glycoprotein (MOG)抗体は急性散在性脳脊髄炎、視神経炎、脊髄炎、皮質性脳炎など様々な臨床表現型を呈する中枢性の脱髄疾患で陽性となる自己抗体で、本抗体が陽性となる疾患群は抗MOG抗体関連疾患と呼ばれています。
今年の1月に国際診断基準が策定され、国際的に非常に注目を浴びている疾患です。
本疾患の診断には、血清での抗MOG抗体の検出が重要とされていましたが、近年、髄液のみに抗MOG抗体が陽性となる症例の報告がなされるようになりました。
しかしながら、髄液抗体の診断上の意義、また臨床症状への影響は明らかではありませんでした。
今回、我々は405名の抗MOG抗体陽性が疑われる患者と、陰性コントロールを対象に血清と髄液の抗体を検索し
(1)MOG-IgGは血清と髄液で同等の感度と特異度を持ち
(2)血清抗体は視神経炎、髄液抗体は皮質性脳炎と関連し
(3)血清が陰性であっても、皮質性脳炎は髄液陽性率が50%と高い
ということを明らかにしました。
本研究は、どのような患者に髄液検査での抗MOG抗体を検索すればよいか、また抗MOG抗体の臨床表現型への影響を明らかにした点で新規性があります。
また、本研究を評価頂き、東北大学大学院での総長賞を頂戴しました。
今後も、本疾患の病態解明に取り組んでいきたいと考えております。

文責 松本



多発性硬化症類似疾患の診断的意義・免疫病態を解明 -脳内抗体産生病態に応じた検査判断が可能に-

 

 
IMG_5414.jpg (IMG_5414.jpg)

 

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