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研究トピックス

神経変性疾患における病的凝集タンパクのプリオン様挙動を解読する

2022/03/15

 

Deciphering the Prion-Like Behavior of Pathogenic Protein Aggregates in Neurodegenerative Diseases.
Shun Yoshida, Takafumi Hasegawa* (*corresponding author)
Neurochemistry International, 2022, 155, 105307 (Invited review)

キーワード: Prion-like transmission, Protein aggregates, Alzheimer's disease, Parkinson's disease, Amyotrophic lateral sclerosis, Huntington's disease

要旨:
従来、神経変性疾患は臨床病型、解剖学的な神経変性の分布域、及び傷害される細胞種によって分類されてきた。一方、神経病理学、遺伝学、分子生物学的研究の進歩により、神経変性部位において各々の疾患に特異的な不溶性凝集タンパクが存在することが明らかとなり、構造変化を生じた特定種の蛋白蓄積を伴う変性疾患を総称する用語として、“プロテイノパチー”が広く用いられる様になっている。さらに近年、これらの異常凝集タンパクが細胞間を伝播し、プリオン同様に正常型のタンパクを細胞毒性を有するミスフォールドタンパクへと変換させる性質を有することが判明し、本領域におけるブレイクスルーとなっている。本レビューでは、異常タンパクの構造伝播・細胞間伝播の背景となる分子細胞生物学的基盤に焦点を当て、同現象が如何にして疾患発症・進行に影響するかを解説した。


文責 吉田隼、長谷川隆文

 

 

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