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研究トピックス

縁取り空胞性ミオパチー大家系においてHSPB8遺伝子欠失を同定

2021/04/08

 

A novel deletion in the C-terminal region of HSPB8 in a family with rimmed vacuolar myopathy
Aya Inoue-Shibui, Tetsuya Niihori, Michio Kobayashi, Naoki Suzuki, Rumiko Izumi, Hitoshi Warita, Kenju Hara, Matsuyuki Shirota, Ryo Funayama, Keiko Nakayama, Ichizo Nishino, Masashi Aoki, Yoko Aoki.
J Hum Genet. 2021 Mar 20. doi: 10.1038/s10038-021-00916-y. PMID: 33744911

要旨:
HSPB8遺伝子によりエンコードされる小型熱ショック蛋白HSPB8は、シャペロン介在性選択的オートファジー複合体を構成する要素であり、障害されたタンパクを取り除くことで、骨格筋の質の維持に寄与している。HSPB8遺伝子変異により、Charcot-Marie-Tooth病2L型、遠位遺伝性運動ニューロパチーIIa型、縁取り空胞性ミオパチー (RVM) の発症が知られている。今回、我々は、本邦のRVM大家系から全エクソームシークエンスにより、HSPB8 c.525_529del (p.Thr176Trpfs*38) を病因変異として同定した。本家系の特徴として、既報のHSPB8遺伝子変異を伴うRVMでは報告がなかった重度の拘束性換気障害を家系内3名の罹患者に認めたことと、傍脊柱筋の著明な筋委縮が挙げられる。変異は最終エクソンに存在しており、タンパクレベルでは既報のフレームシフト変異体と同様に、C末端領域にイソロイシン、ロイシン、バリンから成るILVモチーフの出現が予測される。ILVモチーフは、他の小型熱ショック蛋白において高次オリゴマー形成に必要である IXI/Vモチーフに相当する。in silico解析により、変異体において可溶性の低下と同モチーフ周囲の凝集度の増大が予測された。IXI/VモチーフがHSPB8遺伝子変異を伴うRVMの病態に寄与している可能性が示唆された。

文責 井上 彩

 

 

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