初期研修、後期研修、東北大学医学部　神経内科

抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎における早期の経口ステロイド開始がうつ・疲労の増悪を抑制しうる

2021/03/12

Early Treatment Initiation With Oral Prednisolone for Relapse Prevention Alleviates Depression and Fatigue in Aquaporin-4–Positive Neuromyelitis optica Spectrum Disorder
T Akaishi, T Takahashi, K Fujihara, T Misu, J Fujimori, Y Takai, S Nishiyama, M Abe, T Ishii, M Aoki, I Nakashima.
Front Neurol. 2021 Feb 22;12:608149. doi: 10.3389/fneur.2021.608149. eCollection 2021.

要旨：
【背景】抗アクアポリン4（AQP4）抗体が陽性の視神経脊髄炎では、慢性的にうつ症状や疲労が進行しうることが知られていますが、その増悪・寛解因子はまだ分かっていません。
【方法】今回わたしたちは同疾患の患者さん39名のうつ症状、疲労を横断的に調査し、それまでの治療経過などの臨床データと関連を調べました。
【結果】うつ症状と疲労のいずれの強さも視神経脊髄炎の罹病年数と相関していましたが、とくに発症から経口ステロイドによる再発予防治療を開始するまでの無治療期間の長さと相関していました。一方、再発予防治療を開始してからの期間や調査時点のステロイド服用量、調査時までのステロイドの総使用量などはうつ・疲労と相関していませんでした。
【結語】抗AQP4抗体陽性の視神経脊髄炎ではなるべく早く適切な再発予防治療を開始することが、その後のうつ・疲労症状を軽減しうることが示唆されました。

文責　赤石 哲也