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研究トピックス

FLAIR高信号病変内におけるT1ブラックホールの発生率は多発性硬化症の重症度を反映する

2020/04/04

 

Number of MRI T1-hypointensity corrected by T2/FLAIR lesion volume indicates clinical severity in patients with multiple sclerosis
T. Akaishi, T. Takahashi, K. Fujihara, T. Misu, S. Mugikura, M. Abe, T. Ishii, M. Aoki, I. Nakashima.
PLOS ONE (2020)

要旨:多発性硬化症(MS)は、中枢神経系に時間的・空間的に多発する脱髄病変を特徴とする原因不明の神経疾患です。MRI検査ではFLAIR高信号、T1低信号(T1ブラックホール)、脳体積の萎縮などがみられますが、それらの臨床的有用性を比較する研究はまだ十分行われていませんでした。 今回私たちはMSの患者さんの脳体積、T1ブラックホールの個数、FLAIR高信号体積などを横断的に集計し、神経障害度や重症度(病勢)との関連性を調査しました。その結果、T1ブラックホールの個数は脳萎縮と同程度に、同時点における神経障害度と相関を示しました。一方でFLAIR高信号の個数や体積は過去の再発回数と関連するものの、現在の神経障害度や病勢は反映しませんでした。T1ブラックホールの個数をFLAIR高信号体積で割った値は、病勢と比較的強い相関を示しました。 今回の研究から、MSの患者さんのMRI検査ではT2・FLAIR高信号領域や脳萎縮に加えて、T1ブラックホールの量や、T2・FLAIR高信号領域におけるT1ブラックホールの発生率も重要な評価指標であることが示唆されました。

文責 赤石 哲也

 

 

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