トップ研究活動について > 研究トピックス

研究トピックス

髄膜炎における髄膜刺激徴候の検査特性に関するメタアナリシス

2019/07/17

 

Sensitivity and specificity of meningeal signs in patients with meningitis
Tetsuya Akaishi, Junpei Kobayashi, Michiaki Abe, Kota Ishizawa, Ichiro Nakashima, Masashi Aoki, Tadashi Ishii Journal of General and Family Medicine (2019)

髄膜炎における髄膜刺激徴候には大きく、項部硬直、Jolt accentuation、Kernig徴候、Brudzinski徴候の4種類が知られていますが、それらの感度、特異度など検査特性に関するメタアナリシスはこれまで行われていませんでした。またjolt accentuationはもともと日本で開発された検査手法ですが欧米では十分に普及せず、他の髄膜刺激徴候と比較しての有用性も結論されていません。 今回私たちは、これら4種類の検査法を比較した過去の文献についてシステマティックレビューを行い、メタアナリシスに適した9つの症例対照研究を用いて解析しました。
その結果、項部硬直とjolt accentuationはいずれも感度が50%前後であり、Kernig徴候やBrudzinski徴候の感度(20%前後)より高いことが分かりました。逆に特異度に関しては後者2つが90%前後で、前者2つより高くなりました。陽性尤度比ではjolt accentuationが項部硬直よりもわずかに優れた値を示しました。
今回の研究から、jolt accentuationは項部硬直と同程度の診断的有用性があることが示唆されましたが、一方で髄膜炎の症例の半数ちかくが典型的な髄膜刺激徴候を呈さない可能性も示唆されました。
髄膜炎の正しい診断には、なるべく複数の髄膜刺激徴候の検査を組み合わせて行うことや、髄膜刺激徴候の有無だけにとらわれず身体所見や病歴などひろく考慮にいれることが重要と考えられました。(文責:赤石 哲也、小林 潤平)

 

 

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→
東北大学 神経内科
〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1−1 TEL 022-717-7000(病院代表)