研究トピックス
ALS専門外来での後方視的解析:リルゾール投与に伴う間質性肺炎や注意すべき副作用について
2019/05/01
Interstitial pneumonia and other adverse events in riluzole-administered amyotrophic lateral sclerosis patients: a retrospective observational study
Aya Inoue-Shibui, Masaaki Kato, Naoki Suzuki, Junpei Kobayashi, Yoshiki
Takai, Rumiko Izumi, Yuuko Kawauchi, Hiroshi Kuroda, Hitoshi Warita, Masashi Aoki
BMC Neurology 2019 19:72
[背景] リルゾールにて加療したALS患者の副作用について後方視的に検討する。
[方法] 対象は、2011年1月〜2017年9月に東北大学病院神経内科で改訂El Escorial基準に基づき診断したALS患者さんのうち、リルゾール100 mgを連日経口投与し、投与開始後6ヶ月以上もしくは死亡までフォローアップできた方。患者背景と、投与前後の血液生化学検査所見を記録し、投与中止例は原因と投与期間について検討した。
[結果] 全92例中21.7%の20例で投与中止に至った。原因として最多であったのは肝機能障害5例(5.4%)で、間質性肺炎、嘔気と食欲低下、目眩感、全身倦怠感、舌の異常感覚、尿意切迫感と続いた。副作用とは判断できないが2例で呼吸嚥下機能障害の進行のために中止した。いずれの副作用も投与開始後6ヶ月以内に出現し、間質性肺炎以外の症例は投与中止のみで速やかに改善した。間質性肺炎3例では呼吸不全に至りステロイドによる加療を要した。
[結語] リルゾール開始後、特に6ヶ月以内は、問診、血液検査による慎重なフォローアップを要し、必要があれば胸部レントゲンによる評価を行うことが望ましい。
(井上 彩)
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