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研究トピックス

視神経脊髄炎(NMO)の急性期にみられる血清・髄液間の電解質バランス異常

2017/12/26

 

Chloride imbalance between serum and CSF in the acute phase of neuromyelitis optica.
Tetsuya Akaishi, Toshiyuki Takahashi, Ichiro Nakashima
https://doi.org/10.1016/j.jneuroim.2017.12.019

 視神経脊髄炎(NMO)は主に視神経炎および脊髄炎の再発を繰り返す疾患で、血清中に抗アクアポリン4(AQP4)抗体が高い頻度でみられます。NMOにおける神経障害度の進行は主に再発のたびに進行することが知られていますが、再発のタイプを規定する要因はまだ特定されていません。今回私たちは、抗AQP4抗体が細胞表面の水チャネルを標的とする点に着目し、NMO急性期において水分子の動態を反映しうるマーカーを網羅的に集計し、再発のタイプにわけて比較しました。  当科にて治療歴のある34名のNMO症例から、急性期における血清・髄液ペア測定のデータ(計61回分)を後方視的に集計し、年齢をそろえた30名のMS・NMO以外の神経疾患におけるデータと比較しました。点滴や血漿交換など、治療による影響が否定できないデータは除外しました。
 その結果、NMOの視神経炎および脳病変の急性期における髄液Cl/血清Cl比(QCl)は対照群より有意に高く(p<0.001)、逆にNMOの脊髄炎の急性期におけるQClは対照群より有意に低い(p<0.0001)傾向が見られました。その他の測定項目では、NMO群と対照群の比較でも、NMO症例における視神経炎と脊髄炎の比較でも、有意差を認めませんでした。
 今回観察された電解質バランス異常が、病勢の増悪に伴う二次的な現象なのか、再発のタイプを規定する因子なのかは不明ですが、髄液採取部位から離れた視神経やごく小さな延髄の病変でQClが異常値を示した点からは後者の可能性も否定できず、今後の他施設からの追加検証が待たれます。(文責:赤石 哲也)

 

 

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