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留学便り〜 国立循環器病研究センター 遠藤薫先生

2010/08/23

 

国立循環器病研究センターより

 2009年4月より大阪平野の北限、吹田市にあります独立行政法人国立循環器病研究センター脳血管内科(旧国立循環器病センター内科脳血管部門)へ、糸山前教授の御高配によりレジデントとして赴任しております。病院は御堂筋線の北の終点である千里中央からバスで10分程の住宅地内にあり、伊丹空港から千里中央までモノレールで12分であることを考えると仙台からは思ったより近く感じられます。周辺は北摂と呼ばれる大阪の中でも有数の落ち着いた地域であり、転勤族も多いせいか関西弁は比較的マイルドです。万博記念公園が近く、太陽の塔の背中を眺めながら日々仕事をこなしております。

 国循は言わずと知れた循環器科の病院ですが、開設当初より脳血管部門があり、全国からレジデントが集まり、そして現在、第一線で活躍されている先生方を多数輩出しております。近年ますます脳卒中診療に対するニーズの高まる中、国循も例外ではなく、2010年4月の独立行政法人化の際には英語名が「National cardiovascular center」より「National cerebral and cardiovascular center」となっております。

 国循脳内は現在医師が約40人おり、外来4診、夜勤3名による24時間救急体制、SCU20床を含む100床程を管理する大所帯です。レジデントは主に入院業務を担当しますが、脳梗塞の他に脳出血も担当し、重症例には人工呼吸管理やIVHを始めとした集中治療技術も要求されます(SCUの4床は集中治療加算病床)。tPA静注療法も2005年の認可以降200例を超え、完全に日常診療に溶け込んでおり、日当直で3例使用したこともあります。また、手技としては指導医のもと、超音波検査や脳血管撮影などを行います。特に超音波検査は頸部血管を基本として、経食道心エコーも自ら行い、経頭蓋超音波、DVTを検索する下肢静脈エコーまで行います。希望すれば脳神経外科や、心臓血管内科へのローテート研修も可能です。血管内治療は行っておりませんが、3年間のレジデント生活にて脳卒中診療に関する基本的な考え方、手技は嫌でも身につきます。時折、脳血管障害以外の神経疾患も来院し、その際には東北大出身というだけで一目置かれ、相談されることもありますが、困ることは少なく、東北大神内の臨床レベルの高さを実感する良い機会となりました(ある意味重圧になりますが…)。

 また、臨床だけではなく研究も行っているのが大きな魅力の一つです。レジデント一人一人にテーマが与えられ、臨床研究のみならず併設する研究所との共同研究が行われており、各人臨床の合間に研究を行っております。中には多施設共同研究や、国際共同研究へ参加するチャンスも与えられます。それらを国内のみならず国際学会で発表し、論文化に至るまで徹底した指導がなされます。先輩レジデントの中にはStrokeを始め、NeurologyやCerebrovasular Diseaseのような有名誌に原著を載せた方も多数おります。私も入った早々にテーマを頂き、現在は国際学会を控え(しかも口演)、論文化のプレッシャーに耐える毎日です(この文章も逃避の一つ?)。

 そして何よりこの3年間で得られる人脈が最も得難いものです。峰松副院長や豊田部長を始め、今まで教科書でしか名前をお見受けしなかったような国際的に活躍されている指導医の先生方、錚々たる国内共同研究者の先生方を身近に感じ、同じ志を持ち日本中から集まってきた同年代のレジデントと日々臨床、研究に励むことが今後の財産として活きていくことは間違いありません。臨床と研究の両立によりそれなりに多忙ではありますが、人数が多いことから大きなストレスを感じずに働くことができます。ちょうど3年のうちの半分が過ぎたところですが、残された時間を有効に昇華しレジデント修了後には仙台にて、この貴重な経験を還元し東北の脳卒中診療の臨床そして発展に微力ながら尽力したいと思います。

リンク1:国立循環器病研究センターのHP<http://www.ncvc.go.jp/index.html>
リンク2:SAMURAIのHP<http://samurai.stroke-ncvc.jp/>

2010年8月 
国立循環器病研究センター脳血管内科レジデント 遠藤 薫

 

 

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